【オーナー様と入居者様のエピソード①】日ごろの交流が回復のきっかけに

2020.5.15

賃貸マンションを管理していると、様々な事情を抱えた入居者の方にしばしば出会います。
ごく一般的なファミリーの方、遠方から来た学生・社会人の単身の方、家族と離れて生活することを余儀なくされた方、精神疾患を煩い家族と離れて生活をしている方、身寄りもなく孤独に生活している方、まるで煩わしい社会から抜け出てこの地に辿り着いたというような方。
それぞれ入居者の方と接してみると、その人数分だけ歴史や背景があります。

 
また、オーナー様も、様々な方がいらっしゃいます。
物件に自身も住んでいるオーナー様、物件をまるで我が子のようにかわいがっているオーナー様、物件のことはあまり関心がなく、あくまでも投資物件として所有しているオーナー様。
目的や気持ちが違うので、物件に対しての思いや、入居者の方への思いも異なってきます。

 
様々な思いの方がいる中で、私が出会ったあるオーナー様と入居者様のエピソードをご紹介しようと思います。
私たち管理コンサルタント以外にオーナー様が実際に入居者の方々に耳を傾け寄り添い、一緒に協力し合いながら管理をしているという物件がありました。
その物件で実際に起こったお話です。

 
 

あるご高齢の女性とオーナー様のエピソード

ある一人暮らしのご高齢の女性の方が、足をケガしてしまいました。
ご高齢ではあるものの、これまで日常生活は不自由なく生活をしていました。
しかし、急な足のケガをきっかけに、動くことが困難になり、日常生活を送ることが少し難しくなってしまったのです。
体力的にも、精神的にも、ご高齢ということで、なかなか大変だったことだと思います。
ご高齢でなくても、一人暮らしをしていると、急なケガや病気などで基本的な生活ができない際に、助けを求める相手がいないため、場合によっては大ごとになってしまうケースも生じます。

 

『SOS』の発信

その女性が助けを求めたのは、近くに住むそのマンションのオーナー様でした。
面倒見の良いオーナー様は、時折その女性の生活の手助けをされていました。
それでも、なかなか体調に回復の兆しがなかったので、心配したオーナー様は役所などに相談されたそうです。
日々の生活が円滑に送れない現状と、これからのことを切実に心配されていました。

 
そして、今後の生活のことをお話するために部屋を訪れた際、女性の体調が思わしくなく、オーナー様は病院へ行きしっかりと診てもらうようにとお話をされたそうです。
そこまでの状況とは知らず、そのご高齢の女性は、急遽病院へ行くこととなりました。

 

入院を決め、無事に回復へ

一人暮らしをしていると、時に、病院へ行くこともおろそかになることもあるようです。
誰かに話をすることで、はっと気づかされることも多いのかもしれません。
しばらくの入院生活を経て、その女性は、無事に退院することができました。

 
足のケガだけではなく、ほかにも体調が思わしくないところがあったようです。
一人暮らしのせいか、体調管理がおろそかになっていた部分もあるのかもしれません。
足のケガも体調も改善され、また再び、マンションで一人暮らしができることとなりました。

 

オーナー様と入居者様の関わり

オーナー様が入居者様と日ごろから交流があったことが、回復への近道であったことでしょう。
オーナー様も近くにお住まいであったので、コミュニケーションをとる機会が多かったことが幸いでした。
生活のふとした瞬間に、人と人との関わり方の大切さを学ぶこととなりました。
また、管理会社だけではなく、日々の生活が近い存在の方が、大きな存在であるということも改めて感じました。

 
 
これからの日本の社会を考えると、単身ご高齢の方々の人口がますます増えることとなります。
また、外国から日本に来た方も年々増えることとなるでしょう。
日本社会の仕組みを考えてみると、生涯、不動産を購入せず、賃貸マンションを利用する人口も増えるのかもしれません。

 
今回のようなことは、氷山の一角にすぎず、今後は全国各地でおそらく日常的に発生することではないでしょうか。
また、すでに発生していることではないのかと感じています。
幸いにも、今回のケースは、オーナー様のご配慮もあり、今もなお、その女性の方は元気にお暮らしです。
人と人のつながりの中で、大きな社会の中では、ほんの小さなことにすぎないのかもしれませんが、私自身少しだけ明るい光をみつけたような気がしました。

< 戻る